2022年7月の記事一覧
7/20 一学期終業式でした
今日は一学期の終業式でした。明日から生徒は夏休みに入ります。
終業式では、先日報道があったニコンが一眼レフの開発をやめることを決定したとのニュース(*)を取り上げて話をしました。
ニコンの歴史は、第二次世界大戦の敗北から日本が復活し高度経済成長を達成したサクセスストーリーそのものです。
戦後の焼け跡の中で、ニコンはコンタックス(外国製の有名なカメラ)の互換機(正直に言えばコピー、悪く言えば偽物)作りから始めました。しかし頑張って技術を磨き、本家に負けない性能で市場を獲得し、やがては一眼レフという新たな分野に挑戦して世界一のカメラメーカーに成長しました。
近年、スマートフォンの普及で一般向けのカメラは売れゆきが急低下していたそうです。誰もが持っているスマートフォンでそこそこきれいな写真(下は私の安物スマホで撮影した秩父鉄道武川駅の景色)が撮れてしまう時代には、一眼レフの開発中止もやむをえないことかもしれません。
しかし世界に冠たる日本のカメラ産業の、しかもトップメーカーであるニコンがその技術の象徴である一眼レフの開発をやめるというのはショックです。今日の日本の産業の衰退ぶりを物語るかのようです。
終業式では、生徒諸君が将来家庭や子どもを持った時に、自分たちが享受してきたような生活を子供たちに与えるためには、日本の衰退からの脱却・復活が必要であること、そのためには、まず夏休みに向けて自分の目標をしっかりと決めて、自らを磨く努力をしてほしいと述べました。
最近の急激な円安の進行により、長年にわたり経済成長がなく国民の賃金も低く抑えられてきた日本では、必需品の値上げによる生活の圧迫が避けられません。コロナ対策も大切でしょうが、まず産業経済の衰退を食い止めることが急務だと思います。
(*)この記事は、2022年7月12日付けの日本経済新聞の記事によるものです。その後ニコンからは、「一眼レフの開発は止めているが、生産、販売、サポートは続ける。今後はミラーレスに注力していく」旨のコメントが出ています。要するにミラーのある一眼は作らず、ミラーレス機で行く、という事のようです。カメラ好きでない人にはどうでもいいことかもしれませんが、レンズから入った光を直接自分の目で見られるミラー式の開発が止まるというのも結構、ショックではあります。
7/13 近況+プチ史跡巡り12(ラジオ塔ほか)
このところ更新をさぼっていましたが、久しぶりに更新します。
この前に日曜日には、野球部の夏の大会の応援に熊谷さくら運動公園に行きました。結果的には早大本庄高校に6-7で敗北を喫しましたが、5点差で迎えた9回に4点を返し1点差に詰めよるなど最後まで攻撃精神を失わない立派な試合でした。
さて、今回のプチ史跡巡りは、浦和周辺です。下の写真は埼玉会館の西側の路地にある石仏です。
観音様だと思いますが、私は詳しくないので何観音なのかはわかりません。きちんと祠の中におさめられているおかげで保存状態は良好で、お顔は剥落していますが碑文ははっきりとしています。建立の日付は「元禄二年十一月十八日」とあり、これは私の知っているさいたま市周辺の石仏や庚申塔の中でも極めて古い部類です。元禄2年(1689年)は松尾芭蕉が「奥の細道」の旅をした年で、有名な赤穂浪士の討ち入りより10年以上も昔です。
寄進した人の名前も左下の方に彫ってあり「丸〇又右エ門」のように読めます。〇の部分は、「蓑」とか「莨」のような字ですが、私には読めません。こういった石仏を300年以上も守ってきた心をこれからも大事にしていきたいものです。
次は浦和第一女子高校の近くの調宮公園に立つ謎のコンクリート塔です。
今、「謎」と書いてしまいましたが、実はこの塔は謎ではなくて「ラジオ塔」と言うものです。しかし大方の皆さんは、そもそも「ラジオ塔」って何?と思ったことでしょう。
日本でラジオ放送が始まったのは大正14年(1925年)でしたが、当時はラジオの価格が高く、なかなか一般家庭への普及はすすみませんでした。素早い情報伝達のためにラジオが役に立つ事はわかっていたので、昭和に入り戦時体制が準備される中で、全国各地の広場などに作られたのがこのラジオ塔です。この塔の中にラジオとスピーカーが設置され、近隣住民がラジオ放送を聴ける仕組みでした。この調宮公園のラジオ塔も裏側に昭和15年に日本放送協会が寄贈したという銘板があり、まさに戦時下の情報伝達手段として建設されたことが分かります。
第2次世界大戦が終わり、戦時体制が解除されラジオの普及も進むと、全国各地のラジオ塔は撤去されていきました。ラジオ塔は現在全国に37基しか残っていないとのことで、大変貴重な史跡です。埼玉県内だと他に川越の初雁公園にもラジオ塔が残っているそうですから、そのうち見に行きたいと思います。
この話は、前任校でもブログに書いたのですが、そちらはもう削除されて読めなくなっているようなので、また書かせてもらいました。