校長室ブログ

2023年1月の記事一覧

1/27 プチ史跡巡り(18)さざれ石とか

 県外シリーズ第2弾といっても前回と同じく東京は虎ノ門界隈ですが…。

 今回は日本の教育行政の総本山、文部科学省に潜入しました。地下鉄銀座線を虎ノ門駅でおりると、地下道を通って文部科学省のすぐ前に出る出口があります。そこを出て直進し突き当りを右に曲がると、中庭のようになっているところがあり、そこに「さざれ石」があります。

 

 国歌「君が代」の歌詞で「~さざれ石の巌となりて~」と歌われているアレです。さざれ石とは、元々は細かく砕けた石の事ですが、文科省の前の「さざれ石」は、細かい石が、石の間に炭酸カルシウムなどが入り込むことで固まった石灰質角礫岩という堆積岩の一種です。ただ写真でもわかる通り、まだ岩石としての強固さはない感じです。「君が代」の歌詞のとおりに、細かい石が地中に堆積して強固な巌に成長する過程なわけですね。

 この文部科学省前の「さざれ石」は、さざれ石の産地として有名な岐阜県揖斐市産のものであると説明板に書いてありますが、いつ頃、何のためにここに置かれたのかは書いてありません。私としては、むしろそこが知りたいのですが。

 このさざれ石のすぐ近くに、溝の中に降りていく階段があります。階段を下りた溝の側面が、江戸城外堀の石垣の遺構です。石を切り出したノミの跡や、普請を担当した大名家のマークなどを見ることが出来ます。

 

 旧江戸城は明治維新の後、急速に荒廃し(幕末から財政難のため荒れていたという説もありますが)、建物もあらかた取り壊されていまいました。もったいないことをしたものだと思います。われわれは姫路城、熊本城などを見て城郭建築の壮麗さに感動していますが、明治初年に撮られた写真や現存する図面などによると、明治以前の江戸城は、それらとは比べ物にならない広大なものでした。タイムマシンがあったらぜひ見に行きたいですね。

 この2つの史跡は表通りからはちょっと奥まったところにあり、入っていくのがためらわれる感じですが、特に許可などもらわなくても見学できますので、虎ノ門の辺りに御用のある方はついでに寄ってみてはいかがでしょうか。

 

1/10 始業式・プチ史跡巡り(17)金刀比羅宮(虎ノ門)

 今日は三学期の始業式でした。

 感染予防の観点から始業式は放送で行いましたが、好天気だったのでスタジオに使った多目的A教室からは、遥か東京スカイツリーまでが見渡せました。(下の写真の円内。手前は圓乗院の多宝塔)

  

 始業式では、今年の箱根駅伝の駒澤大学優勝の話題から、駒澤大・大八木監督の優勝のために工夫や努力を怠らない「昭和の精神」を見習いたいという話をしました。R4第3学期始業式.pdf

 今回のお題の二つ目「プチ史跡巡り(17)」は、シリーズ初の県外取材、東京は港区虎ノ門にある金刀比羅宮です。

 この神社自体は、江戸時代に讃岐丸亀の藩主だった京極高和が1660年に四国の金刀比羅宮から勧請し、藩邸内に祀ったという由来がはっきりして特に不思議はありません。祭神は大物主と崇徳天皇ですが、大物主の別神格少彦名命が、船に乗って来訪した神ということもあって、海事関係者の尊崇を集める神社です。そのせいでしょうか、現在でも道路反対側には、商船三井ビルが建っています。

 さて、今回、書きたかったのはこの金刀比羅宮に見られる日本的な精神についてです。

 

 上の写真でも分かるように、この神社は都心のビジネスビルに囲まれるようにして建っています。というか境内に虎ノ門琴平タワーというビルが建っていて、写真左側に見える社務所はこのビルの1階、写真から見切れたところにある神楽殿に至っては地下駐車場の入り口をまたいで建っています。

 この都心の超一等地に残された神社に、私はすごく頼もしいものを感じました。

 現在、日本はバブル崩壊以降の経済的な立ち遅れが隠しようもなくなり、すっかり貧しい国になってしまいました。現代においてグローバル化は避けようがありませんが、21世紀になってからの日本は欧米に追従しようとするあまりに、肝心の日本の強みというべきものを捨ててしまったように思います。

 うまく言えませんが、この金刀比羅宮に見られるように、現代的なものをこだわりなく取り入れつつ、日本の伝統を残す。この二つを融合させるという所に、本来の日本の強さや良さがあったのではないでしょうか。

 この神社は先述の通り、かつては京極家の藩邸内だった場所ですが、江戸時代から毎月十日には庶民の参拝を許していました。封建制の身分社会の建前の中でも、きちんと庶民の要望に応えるおおらかさに、かつての武士たちの姿勢の正しさを感じます。

 そんなわけで新年早々、日本の衰退からの復活を祈願してきました。

1/4 今年もよろしくお願いします。

明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。

 今年のお正月は天気もうららかで、寒さは厳しいながら「初春」という感じがしました。とはいえ私的には特別なことは何もなく、元日は近所の神社へ初詣、2日、3日は基本的にはこたつ・テレビで箱根駅伝(ときどきちょっと外出)という例年通りの過ごし方でしたが。

 今年は近所の神社も、箱根駅伝の沿道の応援も人出が多く、ようやくコロナ以前に戻りつつあるようです。法的な扱いはともかく、人々の心から過大な怯えがなくなってきたのは良いことです。

 そういった明るい兆候とは別に、不安定さを増す国際情勢や、日本経済の衰退に伴う円安・物価高など内外の情勢は、今年も厳しそうです。

 与野高校の生徒に皆さんには、そういった困難にも明るさと強さを失わずに立ち向かえる人に成長してほしいと思います。またそういった皆さんを支えられる与野高校でありたいと思います。